寒さが鈍くなったのは、俺か地球か

 


最近寒くなってきましたね、なんてセリフが聞こえ始める。

それを聞くと、身震いする寒さってあんま無ー気がするなと思い、
ふと昔を思い出すことがある。


若い頃は「刺さる寒さ」が普通で、深夜の峠で車から降りた瞬間、
体ごと震えて「じっと立ってたら死ぬな」って本気で思ってた。
あの頃は服も今ほど賢くなくて、気合いだけで冬に挑んでたし、
世界そのものが狭かったから、爆音で走るのも正義だと思ってた。
すまんな、まじで。煩くして。


で、今。
なんか寒さが丸くなった気がする。
ジジイ化で皮膚のセンサーが壊れたのか、
それとも温暖化で地球そのものが「ぬるく」なってるのか?


昔からじわじわ温暖化してるとして、
寒さを重ねて寒さに慣れんじゃなくて、寒さが楽になってんじゃね?
とかいうどうでもいい錯覚。


まぁ、とにかく若い頃の“深夜ジョージア”の記憶は強い。
自販機で買った缶が“あちっ!”って持てないくらい熱くて、
それをセブンスターのお供にして、
「金ねぇ」「ガソリンねぇ」「車高調ほしい」って
一晩中ループしてた。暇かよ。でも最高だった。


今じゃもう缶コーヒーは糖分がヤバくて飲めねぇ。
世の中も適温管理とかクレーム対応とかで、
あの「熱すぎる缶コーヒー」には二度と出会えない気がする。


だからだ。
人生最後の冬には、極寒の中で
“熱くて持てねぇジョージア”を飲みてぇ。
タバコと一緒にな。


きっとそれだけで、昔の寒さも、世界の狭さも、
全部まとめて「しみじみ」になってくれる気がする。

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